周易古占例

古書(明治・大正含)に見える周易の占例を掲載します

真勢中州とその一門の占例(13)「童僕(でっち)の行方」、「家出者の居所」の占

天元春日  周易古占例 13


本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。


【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(13)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(25)は「童僕(でっち)の行方」、(26)は「家出者の居所」の占例です。


(25)ある人の童僕(でっち)朝出て今に帰らずと。これを筮して予(よ)の震(しん)に之(ゆく)を得。占之曰、予(よ)は楽(らく)なり。震(しん)は賑(にぎやか)なり。楽しんで賑やかなるは芝居ならん。かつ初爻(しょこう)を北とし上爻を(じょうこう)を南とす。ゆえに南より帰るならん。また坤を夜とす。ゆえに夜に入りて帰らんという。中す。
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(26)家を出る者あり。居所(きょしょ)はいづれなりや。これを筮して屯(ちゅん)の既済(きせい)に之(ゆく)を得。占之曰(これをせんしていわく)、屯(ちゅん)は長男、北へ行くの象なり。それより南へ行き、南より書状来て知るの象なりというに中す。

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

真勢中州とその一門の占例(12)「失人(うせびと)は帰るか」、「尼の出奔」の占

天元春日  周易古占例 12


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【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(12)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(23)は「失人(うせびと)は帰るか」、(24)は「尼の出奔」の占例です。


(23)失人(うせびと)あり。帰るやいなやを問う。筮して訴(しょう)の未済(みせい)に之を得。占之曰、訟(しょう)は和せずして争いあり。ゆえに走りたるならん。
しかれども五日には所知るならんという。果たして五日目に知るなり。
 

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(24)ある尼出奔(しゅっぽん)す。筮して訟(しょう)の遯(とん)に之(ゆく)を得。占之曰、訟(しょう)は不和(ふわ)なり。 遯(とん)は遁(のがるる)なり。不和なるゆえに遁(のが)れ去り帰らざるの意ありという。中す。

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。

 


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。

 


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

真勢中州とその一門の占例(11)「遠国の船がくるか」、「産物を乗せた船は来るか」の占

天元春日  周易古占例 11


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【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(11)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(21)は「遠国の船がくるか」、(22)は「産物を乗せた船は来るか」の占例です。


(21)戊辰(つちのえたつ)の夏、遠国(えんごく)の舟来るやいなやを筮(ぜい)して大過(たいか)之坤(こん)に之(ゆく)を得。占之曰大過(たいか)は遷延(せんえん)の義あり。
坤(こん)は虚(きょ)とし、無(む)とするの象あれば、今年は来(きた)るまじという。中す。
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(22)ある人、東都(とうと)の産物を約して金を貸(かせ)しに、産物の舟来らず。
故にその吉凶を問う。筮して升(しょう)を得たり。占之曰、雑卦に「升不レ来(しょうはきたらず)」とあれば、舟来るまじ。なお借人(かりびと)の心を察して舟の占を実にすべしとその借主を筮して蠱(こ)を得。占之曰、蠱(こ)は惑壊(まよわしやぶる)の義なれば、これ偽言(ぎげん)をもって金を借りたるものゆえに舟は決して来たらずいう。中す。

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。

 


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

真勢中州とその一門の占例(10)「船が何艘くるか」、「いつ船が着くか」の占

天元春日  周易古占例 10


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【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(10)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(19)は「船が何艘くるか」、(20)は「いつ船が着くか」の占例です。


(19)癸亥(みずのとい)十月十八日に遠境の舟、何艘来ることを筮して遯(とん)ノ同人(どうじん)に之(ゆく)を得。占之曰、遯(とん)は全卦(ぜんか)の巽(そん)にして大巽(たいそん)なり。また巽(そん)を舟とし、三八の数とす。
大巽(たいそん)なる故に三を取らずして八を取り八艘なることを知る。また彼より見れば月末(つきのすえ)なり。かつ本卦(ほんか)を当月(とうげつ)とし、之卦(ゆくか)を来月とす。ゆえに十一月末に至りて八艘著(つく)べしという。果たしてしかり。
 
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(20)ある船主(ふねぬし)、著船(ちゃくせん)いつ時分なることを問う。
筮して謙(けん)を得る。占之曰く、坤(こん)を大川とす。一陽を舟とす。また内卦(ないか)を当月(とうげつ)とし、外卦(がいか)を来月とす。今、一陽の舟内卦(ないか)の極(きょく)にあり。ゆえに当月末(とうげつすえ)に著舟(ちゃくせん)あらんという。中す。

 

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。

 


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

真勢中州とその一門の占例(9)「金の貸し借りに関する揉め事」、「呼び出しに応じた方が良いかかどうか」の占

天元春日  周易古占例 9


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【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(9)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、

 


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(17)は「金の貸し借りに関する揉め事」、(18)は「呼び出しに応じた方が良いかかどうか」の占例です。


(17)ある人、田地(でんち)を質(しち)として金を貸すに返さず。筮を請う。因て筮して明夷(めいい)の謙(けん)に之(ゆく)を得。これを占していわく、坤(こん)は田地なり。離(り)は証文なり。艮(ごん) は止(とどまる)なり。しかれば田地を質(しち)として金を貸し、證文(しょうもん)を持ち居るの象なり。今彼これをくらまし破らんとするの意あり。【卦は即今を告ぐ】しかるに明夷(めいい)の伏卦(ふっか)訟(しょう)なり。故にこれを訟えんとすれば彼、謙(けん)の伏卦(ふっか)履(り)なれば、道理を履(ふん)で我に兌金(だきん)を返し、また訟(しょう)の易位(えきい)を以て乾金(けんきん)来たる義あり。故に 訟(うったえ)るの心に成りて応対(おうたい)して可ならんという。中(ちゅう)す。【伏卦を以て将来を決す密象】

 

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(18)ある人、問屋(といや)し来るに、近江(おうみ)の客に気うけの少し凶(あし)きことあり。書簡(しょかん)来て主人に直(じき)に来るべしとの文なり。行きて吉か、また行かぬが吉かを問う。筮して訟(しょう)の中孚(ちゅうふ)に之(ゆく)を得。占之曰往きて吉なり。訟(しょう)は、争うなる故に彼より強く争うことあるべし。然れども我よりもまた、強く対(こた)うべし。しかるときは、向こうの乾(けん)がやわらぎ巽(したが)うべし。我も兌口(だこう)にて和悦(わえつ)すれば中孚(ちゅうふ)となりて調和すべしという。中(ちゅう)す。【応対の占は、両体の象によりて義を取る。詳に易学階梯附言に見たりと。考うべし。】

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

真勢中州とその一門の占例(8)「寺院間の訴訟の勝敗」、「金子に関する訴訟の勝敗」

天元春日  周易古占例 8


本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。


【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(8)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(15)は「寺院間の訴訟の勝敗」、(16)は「金子に関する訴訟の勝敗」の占例です。


(15)ある同宗(どうしゅう)の本寺(ほんじ)なるもの、その山本(ほんざん)と云ると論ありて訟(うったえ)に及ぶことあり。その本寺より勝敗(しょうはい)を先生に問う。
筮して蹇(けん)の既済(きせい)に之(ゆく)を得。
占之曰蹇(けん)は難(なやみ)なり。既済(きせい)は事の尽(つく)るなり。蹇(けん)は進退自由(しんたいじゆう)ならざるの象にして進む事も退く事もならず、大に難(なや)むの義なり。
また、外卦(がいか)動かずして内卦(ないか)変じたり。彼は動かずして我変ず。
これ敗なり。しかるに艮(ごん)、離(り)に変ず。
離(り)を文章とし、艮(ごん)を止(とどむ)とす。止むる所の文章は、証文(しょうもん)なるべし。また坎(かん)を隠(かくす)とす。これに
由て見れば、本山の手に訟主(しょうしゅ)本寺(ほんじ)の証文(しょうもん)を止めたり。
これがために彼本山、勝ちとなり訟主(しょうしゅ)敗なるべし。
かつ、彼坎水(かんすい)にして我(わが)離火(りか)を尅(こく)す。
訟主(しょうしゅ)本寺(ほんじ)なるもの敗たることを知るという。果たしてその言のごとし。

 

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(16)ある人、金子(きんす)のことに由りて訟(うったえ)に及ぶ。しかるに双方(そうほう)理ありて下(した)にて勝敗決しがたき故に吉凶を問う。
筮して革(かく)の卦(か)を得る。これを占していわく、革はわが離火(りか)をもって彼兌金(だきん)を尅(こく)するの象なれば、わが勝ちにして彼敗ならんという。中す。

 

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。

 


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)

真勢中州とその一門の占例(7)「4人の候補のうち、誰が役替えになるか」、「医業を行うに際し、3つの選択肢の中のどれが良いか」

天元春日  周易古占例 7  


本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。


【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(7)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(13)は「4人の候補のうち、誰が役替えになるか」、(14)は「医業を行うに際し、3つの選択肢の中のどれが良いか」の占例です。


(13)或士(あるし)の曰く、我國(わがくに)もとより役替(やくがえ)を告来(つげきた)ることあり。
其役(やく)を勤(つと)むる者四人の中(うち)、何(いずれ)の人なるや。ただし一より四まで順(じゅん)ありという。
これを筮して家人(かじん)の小畜(しょうちく)に之(ゆく)を得る。
占之曰、離を明(めい)とし、巽(そん)を命(めい)とす。
ゆえに明(あきらか)なる人に君命(くんめい)の下(くだ)る義あり。
又四人の中何(うちいずれ)の人なることを云ば初上(しょじょう)を外(ほか)として取らず【これ初上を無位の地とすればなり】二より四まで順(じゅん)にして四人とす。その四人の中一番の人ならんという言二爻変じて動(うごく)なり。
かつ二は中正(ちゅうせい)を得、五の君に応ず。故に二爻ならんことを知る。

又外の三爻は動かず応なり。因て二爻(こう)の人というに果たして然り。

 

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(14)ある医師問いて曰く、自宅(みづからたく)を求めて医業(いぎょう)をするが宜(よき)や又他へ養子(ようし)に行くが宜(よき)や同姓(どうせい)に家の亡(ほろび)びたるあり。その跡(あと)を建(たて)て宜(よき)や此三の中の吉凶を決せよと。
因て筮して蠱(こ)の大畜(たいちく)に之(ゆく)を得。
占之曰蠱はやぶれなり。かつ初爻(しょこう)の辞(ことば)に幹二父之蠱一有レ子考无レ咎厲終吉(ちちのこにかんたり。こあればちち、とがなし。あやうけれどもついにきつなり)と云えり。
然ればやぶれたる跡(あと)を建(たて)て業をすることを告たる卦(か)なり。
また初爻(しょこう)変じて大畜(たいちく)となるは、大に畜(たくわ)ゆの義なれば、同姓(どうせい)の家を建て、医業をして吉なりという。果たして同姓(どうせい)を建て業用(ぎょうよう)蕃昌(はんじょう)せり。

 

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
  易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法 平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。

周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』

2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)