周易古占例

古書(明治・大正含)に見える周易の占例を掲載します

真勢中州とその一門の占例(10)「船が何艘くるか」、「いつ船が着くか」の占

天元春日  周易古占例 10


本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。


【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(10)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(19)は「船が何艘くるか」、(20)は「いつ船が着くか」の占例です。


(19)癸亥(みずのとい)十月十八日に遠境の舟、何艘来ることを筮して遯(とん)ノ同人(どうじん)に之(ゆく)を得。占之曰、遯(とん)は全卦(ぜんか)の巽(そん)にして大巽(たいそん)なり。また巽(そん)を舟とし、三八の数とす。
大巽(たいそん)なる故に三を取らずして八を取り八艘なることを知る。また彼より見れば月末(つきのすえ)なり。かつ本卦(ほんか)を当月(とうげつ)とし、之卦(ゆくか)を来月とす。ゆえに十一月末に至りて八艘著(つく)べしという。果たしてしかり。
 
 f:id:amamotoharuhi:20220212141120j:image


(20)ある船主(ふねぬし)、著船(ちゃくせん)いつ時分なることを問う。
筮して謙(けん)を得る。占之曰く、坤(こん)を大川とす。一陽を舟とす。また内卦(ないか)を当月(とうげつ)とし、外卦(がいか)を来月とす。今、一陽の舟内卦(ないか)の極(きょく)にあり。ゆえに当月末(とうげつすえ)に著舟(ちゃくせん)あらんという。中す。

 

f:id:amamotoharuhi:20220212141131j:image


※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。

 


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)