周易古占例

古書(明治・大正含)に見える周易の占例を掲載します

真勢中州とその一門の占例(13)「童僕(でっち)の行方」、「家出者の居所」の占

天元春日  周易古占例 13


本ブログでは、少しずつ周易の古占例を掲載してゆきたいと思います。


【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(13)】


ー真勢中州について


真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。


『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、


「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」


と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例


(25)は「童僕(でっち)の行方」、(26)は「家出者の居所」の占例です。


(25)ある人の童僕(でっち)朝出て今に帰らずと。これを筮して予(よ)の震(しん)に之(ゆく)を得。占之曰、予(よ)は楽(らく)なり。震(しん)は賑(にぎやか)なり。楽しんで賑やかなるは芝居ならん。かつ初爻(しょこう)を北とし上爻を(じょうこう)を南とす。ゆえに南より帰るならん。また坤を夜とす。ゆえに夜に入りて帰らんという。中す。
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(26)家を出る者あり。居所(きょしょ)はいづれなりや。これを筮して屯(ちゅん)の既済(きせい)に之(ゆく)を得。占之曰(これをせんしていわく)、屯(ちゅん)は長男、北へ行くの象なり。それより南へ行き、南より書状来て知るの象なりというに中す。

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※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。


○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。


【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【ココナラ】 「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法  平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。


  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。


【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)